■牛黄(ゴオウ)ってなに?
牛黄(ゴオウ)とは、牛の胆のうまたは輸胆管内に病的に生じた結石のことで、人間でいう胆石にあたります。
この胆石を乾燥させたものが漢方薬として使用されています。
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良質の胆石は牛の限られ、人間の胆石では石灰分が多く含まれていて、とても薬としては使い物になりません。
牛黄(ゴオウ)の品質は、軽く、もろく、砕けやすく、味はわずかな苦みのなかに甘みがあり、何となく香しいものが良いとされています。
牛黄(ゴオウ)の中で最も良質なのはオーストラリア産で、北米産の牛黄(ゴオウ)、南米産の牛黄(ゴオウ)がこれに続き、インド産の牛黄(ゴオウ)は劣品とされています。
中国では、牛や豚の胆汁を合成して牛黄(ゴオウ)作ることもあり、とても信用ができません。
■牛黄(ゴオウ)は命を養う霊薬
今から約1,800年前から著されている中国の薬書の中に、「牛黄(ゴオウ)」についての記述が次のように記されています。
『神農本草経』
牛黄(ゴオウ)は、命を養う薬で、毒がなく、量を多く飲んでも続けて服用しても害のない。多を軽くし、元気を増やし、不老延年をはかる上薬である。
驚癇熱(熱性のひきつけ)を治し、邪を除き、危機を救う。
『名医別録』
小児の百病、諸癇熱で口を開かぬものを癒す。
また、胎を堕し、久しく服すれば多を軽くし、年を増し、人をして忘れざれしむ。
『日華子諸家本草』
中風で唇がしびれて言葉が出なくなったり、動悸が激しく、まさに天国に行かんとする時、また、物忘れしたり、うつろな状態になったりする時に用いて良い。
肝臓や胆のうを強くし、精神を安定し、解熱止めの効果あり、気がよくなり、百病を除く。
■牛黄(ゴオウ)はなぜ高価なのか?
古くから「ゴオウは黄金より高価である」と言われています。
これはなぜかというと、牛黄(ゴオウ)は牛の胆石ですから、胆石病にかかった牛にしか牛黄(ゴオウ)がないからです。
ですから、牛黄(ゴオウ)は1,000頭の中から1頭ぐらいの割合でしか発見できない希少な漢方生薬なのです。
このように希少な漢方生薬であるにもかかわらず、牛黄(ゴオウ)の効き目が古来よりよく知られ、現在でも多くの需要があるので、高値で取引されている訳です。
■牛黄(ゴオウ)にはどのような成分が含まれているのか?
牛黄には、胆汁色素のビリルビンやコール酸、デオキシコール酸などからなる胆汁酸が含まれています。
その他、コレステロールやグリシン、アラニン、タウリン、アスパラギン酸、アルギニンなどのアミノ酸が知られています。
■牛黄(ゴオウ)はどのように使われてきたか?
中国では古来より広く用いられている高貴薬で、子供の病気、高熱を発する病気、痙攣、精神錯乱などをを治療する目的で服用され、また、健忘(ぼけ)や脳性麻痺、脳卒中などの脳血管障害の予防や治療に用いられています。
漢方薬では、臓器薬の六神丸や奇応丸などに配合されています。
■牛黄(ゴオウ)の効果と作用
動悸、むくみ、めまい → 心臓の働きを高める → 強心作用
貧血、立ちくらみ、血色不良 → 貧血を改善 → 赤血球新生促進作用
風邪などによる発熱 → 熱を下げる → 解熱作用
イライラ、不眠 → 神経を和らげる → 鎮静作用
腹痛、さしこみ → 痙攣を鎮める → 鎮痙作用
疲労倦怠感、二日酔い、悪酔い → 肝臓の機能を助ける → 肝臓保護作用
消化不良、さしこみ、腹部膨満感 → 胆汁分泌を盛んにする → 利肝作用
肩こり、首筋のこり、頭痛、めまい、のぼせ → 高い血圧を下げる → 血圧降下作用
手足のしびれ → しびれ感の改善 → 末梢神経障害改善作用
のどなどの腫れや痛み → 炎症を抑える → 抗炎症作用
風邪の諸症状の緩和 → ウィルスの活性化を弱める → 抗ウィルス作用
末梢血行障害(手足の冷え、手足のしびれ) → 生体内の脂肪の酸化を抑える → 抗酸化作用
血行障害 → 血液中の血栓を溶かす → 血栓溶解作用