陰陽説は、天地間で起きる全ての現象を陰と陽の2元でとらえる考えで、病気においても体の陰陽のバランスが崩れて、どちらかに偏った結果起こるものであるというものです。
つまり、体が陰に偏っていれば陽の漢方薬を処方し、体が陽に偏っていれば陰の漢方薬を処方することで、崩れた体のバランスを元に戻し、病気を治療するのです。
■漢方では「証」をみる
漢方では、患者さんの体質や病気の進行具合、病気の性質などの患者さんの状態のことを「証」といいます。
証をみるには、「表・裏」「熱・寒」「実・虚」を判定し、これを組み合わせることで以下のような8つのタイプに分類します。
■漢方における「表・裏」は体の部位による区分
「表(陽)」・「裏(陰)」は人間の体の部位によって分類しています。
病気になると、まず「表」の部位に異常がおこり、次第に体の内部である「裏」へと移って行き、体全体が衰弱していくという考えです。
「表」の部位は、咽喉、皮膚、筋肉、骨、関節などで、発熱、悪寒、咽喉痛、発汗、関節痛などの症状として現れます。
「裏」の部位は、上気道、気管支、胃などで、腹痛、便秘、下痢などの症状が現れます。
また、「表」「裏」の間の中間的な部位として肺、小腸、大腸などがあり、口苦、口渇、悪心、嘔吐、食欲不振などの症状が現れます。
■漢方における「熱・寒」は病状の性質による区分
「熱・寒」は、病状の性質によって分類しています。
ただし、体温が高いから「熱」で、体温が低いから「寒」という訳ではありません。
例えば、高熱があっても体がゾクゾクと寒気がする場合は「寒」となります。
つまり、患者自身の自覚症状によって決まるのです。
■漢方における「実・虚」は体質による区分
「実・虚」は、体質によって分類しています。
体が丈夫で抵抗力がある人は「実」であり、病気の回復も早く、一方、虚弱体質で抵抗力がない人は「虚」であり、病気の回復も遅くなります。
ですから、同じ病気であっても、患者さんの体質によって処方する漢方薬が変わってくるのです。